
雨の日には車をみがいて
タイトルを見て、えっ?って思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。今日は五木寛之氏著書「雨の日には車をみがいて」の魅力について書いてみたいと思います。クルマ好きな方にとっては定番中の定番小説なのでご存知の方もいらっしゃると思いますが。。。
この本のサブタイトルには、「僕の愛した9台の車と9人の女たち」とあるように、それぞれの車とともに主人公が恋愛物語を展開する9つのエピソードからなる短編集です。
五木寛之氏と言えば無類のクルマ好きとしても有名ですよね。私がこの本に出会ったのは29年前になります。それがちょうど、自分がSAAB 900を手に入れた頃になります。
この「雨の日には車をみがいて」は、そのストーリーの中の「たそがれ色のシムカ」に出てくる女性の台詞「よくいるわよね。ほら、自慢の車を洗車したあとに雨に降られると舌打ちしたりするようないやな男が。ああいうのは絶対に女に嫌われるタイプよ。車は雨の日こそみがくんだわ。ぴかぴかにみがいたボディに雨の滴が玉になって走るのって、すごくセクシーだと思わない? 雨の日に車をみがくのをいたがる男なんて最低ね…」なのです。
今から思えば、1980年代のバブルを象徴しているセリフかもしれません。
実は、五木寛之氏の著書を読むのがはこれが初めてでした。読み始めて途端にストーリー設定と台詞に引き込まれて行ったのを覚えています。
小説のようにカッコよくはないかもしれないけれど、人それぞれクルマにまつわる女の話は一つや二つはあるでしょう。なので、自分に置き換えて読んだのを懐かしく思い出しますね(笑)
そのクルマたちがこれ。
シムカ1000、アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・スパイダー、ボルボ122S、BMW2000CS、シトローエン2CV、ジャグワーXJ6、メルツェデス・ベンツ300SEL6.3、ポルシェ911S、そしてサーブ96S
・たそがれ色のシムカ
ぼくは思いがけない車を手に入れ、ひとりの女ともだちを失った──ぼくは音楽番組を構成する放送作家の卵だった。それだけでは食えなくて、他にもいろいろな仕事をやっていた。そんなとき、歌手志望の瑤子に夢中になり。。。
・アルファ・ロメオの月
20代の終わりにぼくは構成作家という肩書きを得た。作曲家の川西と知り合い、月に何度か打ち合わせのあとに会うようになった。そのうち川西は、所有するアルファ・ロメオを譲ってくれると言いだす。。。
・アマゾンにもう一度
1960年代が終わるころ、ぼくは新車を買った。アルファ・ロメオをとうとう手放し、貯金をはたいて。コマーシャル・ソングの作詞を手がけているころのことだった。仕事に疲れ、ボルボ122S・アマゾンで湘南へ向かった。。。
・バイエルンからきた貴婦人
1970年の夏、ぼくはドイツ車を所有する。BMW2000CS。先輩の翻訳家から譲り受けたものだ。ある日、停めてあるぼくのBMWに見とれている女性と出会う。28歳独身の朝霞圭子に。その場ですぐにドライブに誘い。。。
・翼よ! あれがパリの灯だ
仕事が忙しくなったぼくは、BMWからシトローエンに乗り換えていた。思いがけない春先の雪の日、上り坂の手前でもがく国産車に遭遇する。運転手はあきらめて、乗っていた2人の女性を降ろして走り去った。。。
・ビッグ・キャットはしなやかに
シトローエンを手放したぼくは、結婚を前提にして相手を探しはじめた。そんな折、大学のときの先輩にあたるプロデューサーから、高沢麻智子という娘を紹介され付き合うことになる。彼女の卒論の代筆を請け負うことからはじまった。。。
・怪物グロッサーの孫娘
高校時代の友人から、ぼくに会いたがっている女性がいるとを知らされる。水森由布子という娘で、銀座のホステスらしい。そのころのぼくは、作詞家と放送作家とCMプランナーの3本立ての仕事をしていて、金回りは悪いほうではなかった。。。
・時をパスするもの
彼女はパリから帰ってきた女性カメラマンだった。ポルシェを買おうという彼女の提案に、彼女に夢中だったぼくは従った。それまで乗っていたメルツェデスを手放し、ポルシェ911Sを購入。それをきっかけに。。。
・白樺のエンブレム
ぼくはあまり車に乗らなくなっていた。1987年の夏、20数年ぶりにテレビ番組の取材でストックホルムを訪れた。夏至祭の2日前だった。ぼくは懐かしさに石畳を踏みしめながら、ストックホルムの街を歩いた。。。
この本は若い人たちに読んでもらって、クルマへの憧れを持って欲しいと切に願います。